米国では毎日11名の人々が 喘息で亡くなっており、救急外来患者の1/4を占めています。1980年以来、喘息による総死亡率は50%上昇しています。
新しいiPhoneアプリのAsthmaMDは、Sam Pejham(医師・研究者)とSalim Madjdが、喘息患者たちを手助けすることを目的として開発されました。このアプリケーションは、患者が発作の日誌を付けることによって、発作の重症度、使用した薬剤等の記録を追跡するのに役立ちます。
しかし、AsthmaMDの最大の特徴は、ユーザーが同意すれば、自分のデータを匿名で同サービスに提供できることです。データは集約されて研究者たちの間で共有されます。同社はこれによって、医師や研究者による喘息の理解が高まり、発作の起きる時期を患者がより的確に予測する助けになる可能性があるといいます。
Madjdがこう言っています。
このアプリから集まってくるデータで何が可能になるかを想像してみてください。私たちは、患者の喘息に関する事象の起きた正確な位置と時間を知ることができるので、例えば地域の大気汚染状況や、天候の変化、さまざまな汚染物質の種類などとの相関を見ることができます。あるいは、ある都市の中に人口あたりの喘息重症度の高い地域があれば、そのことが地図上で明確にわかるので、近隣企業による公害の可能性があることを親に警告できます。さらにはこのデータを使って、不動産サイトと連携することも考えられます。親や将来の親たちにとっては、特定地域の喘息環境を知ることによって、今後住む場所を決める際により適切な判断を下せるようになります。
年齢、性別の違いによる医薬品の効果や、汚染物質によるさまざまなきっかけで起きる喘息への対応方法等に対する理解を高めるためにも利用できます。
喘息の発作を起こす可能性の高いユーザーに対して、類似の症状履歴を持つユーザーのデータを元に、リアルタイムで警告を発することも考えられます。行くゆくは、郵便番号とジオコードに基づいて喘息急発生の知らせをTwitterストリームに流すことも可能です。このアプリは、人々の生命に対して、これまでに例のない、かつ個人的なレベルで影響を与える可能性を持っており、これまで私が取り組んできた中でも特にやり甲斐のあるプロジェクトです。
この種のアプリは、今後益々増えていくでしょう。クラウドソーシングは道路にできた穴を直すのに最適です。しかし、さまざまな病気の理解を深めるために必要な情報を、医師に与えられる可能性も持っています。
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